生活の洋式化に伴い、畳の無い住宅が増えてきましたが、最近は、畳の良さが見直されつつあります。畳表に使われるイ草は空気浄化作用、吸湿・発散作用があります。イ草表面には多数の気孔があり、その繊維がスポンジのように沢山の空気を含むので保温性に優れます。エアコンが普及していない時代は「寝ござ」や「畳」で寝ることで、少しでも快適に寝ることができたのです。地球環境に良い住宅を考えた時、この畳という日本の古き良き技術は是非、取り入れたいものです。
■畳のメリット
(1)空気清浄化作用
畳は二酸化窒素やシックハウスの要因とされる化学物質を吸着します。空気中のアセトアルデヒドの吸着力を測る実験で、初期濃度約14ppmが2時間で4割減少しました。イ草が他の有機資材と比較して高い吸着性をもっている証明ですね。また、二酸化窒素についても畳表が1時間で部屋の二酸化窒素濃度をなんと90%も減らすことが東京大学工学部の実験で明らかになりました。
(2)保温・断熱効果
空気の特長の一つとして、熱を伝えにくいというものがあります。イ草には多数の穴があいており、その断面はスポンジ状になっています。その穴に空気をため込むので、保温、断熱効果があるのです。
(3)湿度調節
畳は呼吸をします。湿度を吸ったり吐いたりして、室内の湿度を調節してくれます。イ草の畳表とワラ床の畳(6帖間)では約3リットルの吸湿能力があると言われています。また、乾燥したら今度は水分を放出してくれます。言わば天然の除湿器であり、加湿器なのです。
(4)弾力性
イ草の茎断面図を電子顕微鏡で見ると「スポンジ」の様にふんわりした構造になっています。この構造が、畳を踏んだ時の気持ち良い弾力性の正体です。畳は床に比べ、弾力性が高いため、衝撃を吸収する力が高く、子供が転んでも大丈夫です。また、その弾力が足裏全体を捉え、刺激を与えるので発育期の子供のバランス感覚を養うのに効果的だと言われています。
(5)吸音性
意外と知られていないのが音や振動の吸収能力です。マンションなどで上の部屋の「ドスン!」と言う音に「何ごと?」と思われた方は多いと思います。衝撃実験において、床が柔らかければ柔らかいほど衝撃音が吸収されることがわかっています。畳の上に重いものを落としてみてください。床に落とした時と音や振動が違うことをご理解いただけます。
(6)鎮静効果
畳表にはイ草のちょっと懐かしい「干し草」の匂いと泥染めの時に使う「染土」がブレンドされた匂いを感じることができます。この匂いは「心地よさ」と「自然」を感じ、鎮静効果(アロマセラピー)があります。 イ草には森林浴の物質であるフィトンチッドが含まれますので、お部屋で森林浴をしている感じですね。またイ草にはバニリンという物質が含まれます。バニリンとは、バニラエッセンスにも含まれる成分です。このバニリンという成分がイ草の癒し効果をもたらす一つの成分となって、心からから落ち着ける癒しを与えてくれます。
(7)畳の色の相性
畳は退色します。新しい青い畳の色も退色した琥珀色も和室だけではなく、いろんな空間にマッチします。特に退色した琥珀色はYR色と言われ、赤と黄色の中間色で、赤と黄色の両方を含んでいて、赤ほど刺激が強くなく、黄色ほど神経質でもなく、身体にほどよい刺激と生命力や暖かく、はずむような、開放的な印象を与えてくれます。 また彩度が低いため、上品で天井、壁、建具、家具との調和を取りやすい色と言えます。
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